世の中、なんか根拠はよくわからないけれど、なんとなく、みんながそうしているからそうする的なスタンダードって多いのですが、MTBにもそういうスタンダードは多いもんで(汗)
前回、クランクの長さについて、なんかよくわからないスタンダードを掘り下げて、当店流の適正クランク長の導き方を公開したところ、ドエライ反響だったんですが(大汗)、MTBにはもう1つ、謎の根拠がよくわからないスタンダードが存在します。はい、ハンドルバー幅です。

いまでこそ、販売されているハンドルバー幅は、大体800㎜前後。でも、今のスタンダードから考えると信じられないかもしれませんが、昔のMTBのハンドルバー幅は、600㎜くらいがスタンダードでXCレースになるとアンダー600㎜がアタリマエでした。

スペシャライズドの伝説的なXCレーサーのキャプテンネッド(Ned Overend)は、560㎜くらいのハンドルバーでレースをしていました。ダウンヒルレースになると、もう少しハンドルバーは広くなるんですが……

この写真でも、まぁ、620㎜くらいですかねぇ(大汗)。
狭いハンドルバーの有利な点は、ダンシングがしやすい、ヒルクライム時にハンドルを引きやすい、コーナーリング時のハンドリングフィールがクイックになる、肩の疲労感を軽減するなどいろいろ。でも、時代が進むにつれて、サスペンションやジオメトリーが進化するのと同時に、走るフィールドがどんどん激しくなるにつれて、ハンドル幅広くなってきたのはご存じの通り。
で、問題は、自分にはどのハンドル幅が適正なわけ??問題。

まず基本に戻って、ハンドルバーの役目を考えるとですね、そりゃ、ステアリングをするためのデバイスというのは誰だって解る(汗)。でも、それ以前に大事なのは(特にMTBでは)、ハンドルバーはライダーの体重を支えつつ、地面からのショックをいなすデバイスであるということ。
そのため、この2人のサンタのように(なんと季節外れか!)、MTBに乗っている間、ライダーは、ハンドルバーを持って、重量挙げのバーベルを持ち上げるような体制になるわけです。地面からの衝撃などを、バーベルのウェイトとして考えると、どのくらいの腕の幅がもっとも効率よく力を出せるのか(=衝撃を吸収できるのか)ということを考えるべきなんですよ。

ベンチプレス理論というのがあるんですが、ベンチプレスで一番力を出せる腕の幅は、肩幅の約2倍と言われています。この時の肩幅というのは、単純な方の外から外までの幅ではなく、骨格でいう、肩峰間幅ということを指します(英語では、Biacromial Width と言います)。

PinkBike誌にわかりやすいイラストがあったので引用していますが、気を付けなければならないのは、鎖骨の先っぽではないということ。方の先に、ちょっと出っ張ったところがあるんですが、左右のこの出っ張りの間の距離が肩峰間幅。日本人の場合、男性の平均が400㎜弱、女性の平均が360㎜弱とされています。
ということは、ベンチプレス理論を用いれば、この倍の数字が、まずたたき台になる数字になる……というのは早とちり。なぜかというと、MTBのハンドルバーから入力される荷重は、ベンチプレスのウェイトに比較すれば全然小さい。加えて、走るフィールド、走行条件が同じ場合、ハンドルから伝わる衝撃の男女の差があまりない。
加えて、MTBのハンドルバーからの入力は、上下の運動に加えて、左右の腕が独立して動くねじれ入力も多い。そのため、あやつり人形の糸のように、左右の腕が独立して自由に動いて、ハンドルを操りやすいポジションを探すべきなわけで。

さらに問題を難しくするのが、広すぎるハンドルバーは、肩にかかる負担を強くして、狭すぎるハンドルバーは、肘にかかる負担を強くするということ(大汗)。さらにさらにややこしいのが、男性と女性で、骨格の違いから、ハンドルバーからの肩肘にかかる負担が違うということなんです。

ものすごく端的なイラストなんですが、男性は基本的に鎖骨が長いので、いわゆるいかり肩になり、女性は逆に鎖骨が短いので、なで肩になる傾向があります。そして、女性は肋骨の動きが小さく、肩関節を大きく動かす傾向があるんです。加えて、基本的な筋肉量の差から、男性は肘で負荷を受ける耐性が高いですが、女性はそこまで耐性が高くない。これを整理すると……
男性 ・ ハンドルからの衝撃を、肘で吸収して、最終的に肩で受け止める → 肩峰間幅に対して、広すぎるハンドル幅は肩を痛めるリスクがある
女性 ・ ハンドルからの衝撃を、肘と肩全体で吸収して受け止める → 肩峰間幅に対して、少し広めの方が肘を痛めるリスクが少なくなる
これらの傾向を踏まえたうえで、次の写真をみてもらいたいわけですが

左の女子(当店のWEBデザイナー)は、ビギナーということもありますが、肘は伸ばし気味で、肩で支える感じ。半面、右のおいらは、肘を曲げていますよね。もちろん、鍛えている女子ライダーは、男性ライダーのライディングスタイルに近くなってきますが(筋肉がつくので)、一般的にはこの写真のような男女の差が出てくるのです。
そんな、男女の体格の差、筋肉量の差、骨格の差を考慮して、適正なハンドルバー幅を求められないか?と考えた人はちゃんとおりまして……MTBインストラクター&トレーナーとして有名な、Lee McCormack が、公式を提唱しているんです。
男性の場合 身長(㎜)X 0.440
女性の場合 身長(㎜)X 0.426
おいらは、身長173㎝なので、1730 X 0.440 で、761.2㎜。確かに、おいらは760㎜幅のハンドルバーを使っています。Lee McCormack は、この公式を提唱するにあたり、コロラドのボールダーにある、REVO Physiotherapy and Sports Performance のドクターたちといろいろ探求しているので、きわめて信頼性が高いと言えます………が、そんな重鎮にも意見しちゃうのが当店でして!!

もう一度、肩峰間幅を考えなければならないんですが、Lee McCormack セオリーの、単純に身長に対して同じ係数を掛けるということは、身長に対して、肩峰間幅は比例するということになります。でも実際はそんなことはない。
確かに身長が大きくなればなるほど、肩峰間幅も広くなっていく傾向はありますが、身長が1割増えても、肩峰間幅は1割も増えないんです。 そのため、身長が低くなると、算出されるハンドルバー幅が狭すぎる傾向が強くなります。
例を挙げると、173㎝のおいらは、0.440を掛けると、ハンドルバー幅は761.2㎜。でも、身長163㎝のライダーだと、算出されるハンドルバー幅は717.2㎜。いや、これ、男性ライダーとしてはちょっと狭すぎるでしょ~
そこで、当店というかおいら、調べまくりましたよ(滝汗)
日本人の男女の骨格、身長と肩峰間幅の対比データ、平均のリーチ、平均筋肉量の差などのデータを集めまくり、アメリカの研究データやいろんなセオリーの数値を集めまくって、計算して、お客さんのハンドルバー幅と肩峰間幅の対比などもテストしまくること、実に2年弱もやっていたんですよ(本当)

そんな当店の地と涙の結晶セオリーを、どどーんと公開しちゃいまーす!ただし、身長140㎝以上のライダーが対象になります。
H = 身長(cm) Ha = H ー 140 B = ベースハンドルバー幅(㎜)
男性ライダー B = 10H X (0.4875 ー 0.00155 X Ha)
女性ライダー B = 10H X (0.4818 ー 0.00164 X Ha)
この公式で算出されるハンドルバー幅は、基本となる幅で、基本的に小数点以下は切り捨てしちゃってください。ビギナーの人は、この幅がほぼしっくりくるはずです。
その上で、エンデューロ的に乗る男性は、元の数字にプラス15㎜で、1の位を四捨五入。XCレースなどで使う場合は、マイナス10㎜で、1の位を四捨五入。
エンデューロ的に乗る女性は、元の数字にプラス10㎜で、1の位を四捨五入。XCレースなどで使う場合は、マイナス5㎜で、1の位を四捨五入。
おいらの場合、身長173㎝ですから、Haは、173ー140で33。
そのまま公式通りに計算すると、10 X 173 X (0.4875 ー 0.00155 X 33)で、754.88㎜ですから、ベース幅は754㎜。で、エンデューロ的に使うことが多いので、+10㎜で、764㎜。四捨五入して、760㎜、となります。
前述のWEBデザイナーの女子スタッフは、身長160㎝。Haは、160-140で、20。
計算は、10 X 160 X (0.4818 ー 0.00164 X 20)で、718.4㎜なので、ベース幅は718㎜。で、ビギナーですからこのまま使うので、四捨五入して、720㎜、となります。
ただ、最後にこれをいうのはズルいんですが、計算だけでは、適正なハンドル幅は見つけられないのです(汗)
この計算で求めた数値をベースに、乗り込んでみて、また調整していかないと、ベストポジションはなかなか得られません。なので、最初のうちは、高いハンドルバーなんか買わないで、切っても惜しくないハンドルバーで始めるのが正解です(大笑)
また、ライザーバーなどを使うとなると、幅に制限があったりすので、ちょっと考え方を変える必要も出てくるんですが、それについてはまた改めて。気になるのであれば、直接ご来店くださいませ~~。嫌って言うほど、理系な話をしますから~~~(爆)
追伸・ダウンヒルの古い写真に写っているのはおいらだったりします・レジェンドの後に登場させて失礼しました~~~


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